2018年8月1日制作

裁判所から自己破産と免責が認められれば、借入金の返済や債務の支払いが免除されます。税金や養育費といった免責されないものもありますが、基本的にすべての借入金の返済が必要なくなります。しかし一方で、財産はそのほとんどが処分されますし、新規の資金調達やクレジットカード作成が難しくなるといったデメリットもあります。

自己破産とは

自己破産は債務整理の最後の手段

「自己破産」とは債務整理方法のひとつで、裁判所を通して全財産を債権者に分配し、債務を清算することで、破綻した生活を立て直すことを目的とした制度です。それ以降の債務支払義務は免除されます。資金繰りや債務整理が行き詰まり、他にどうすることもできなくなった時の最終手段といえるでしょう。自己破産が認められるのは、収入や資産、負債額を包括的に考慮し、借入金の返済や債務の支払いができないと認められた場合だけです。十分な財産があるのに借入金を返済したくないという身勝手な理由で認められるものではありません。

破産の申し立てと免責許可の申し立てを行う

自己破産を進めるには、裁判所に「破産」の申し立てと「免責許可」の申し立て、この2つを行う必要があります。債務者の財産や収入では債務を返すことができないと認められれば、「破産手続開始の決定」(以前は「破産宣告」と呼ばれていました)がなされ、申立人(債務者)は「破産者」となります。この時点ではまだ返済義務はなくなっていません。次に「免責許可」を受けることで、残った債務の支払義務が免除されます。また、債権者に分配する財産がないことがあらかじめわかっている場合は、破産手続開始の決定と同時に手続きが終了する「同時廃止」となります。

免責許可が認められないケースも

「破産手続き開始の決定」が行われても、「免責許可」が認められないケースもあります。申し立てを行う際に、抱えている借入金の金額をごまかしたり、保有する財産を隠していたりすると、免責許可が下りないことがあります。また、賭け事や浪費が原因で借り入れていた場合も、「免責不許可事由」に該当します。

免責許可が下りても免責されない債務

免責許可が下りることで借入金等の債務が基本的にすべて免責されますが、免責されずに残るものがあります。税金、損害賠償、養育費・婚姻費用、罰金等は、「非免責債権」といって、自己破産しても免責されず、債務として残ります。

破産管財人による財産の処分

破産管財人が選任され財産の多くは処分される

ほぼすべての財産は処分され、手元に残すことができません。破産手続き開始の決定がなされると、「破産管財人」が選任されます。法律的に処理すべき事柄が多いため、弁護士資格のある人が管財人に選任されます。管財人は破産者の財産と負債を管理し、財産を現金に換え、各債権者に公平に配当します。破産者は管財人に協力する義務があります。

処分されるのは20万円を超える財産

預貯金はもちろんのこと、株式、生命保険の解約返戻金や、自動車、美術品、不動産といった資産は、それぞれ20万円を超えるとみなされると、管財人によって処分されます。価値が20万円以下と判断されたものは、処分されずに残すことができます。

生活に最低限必要なものは処分されない

生活に最低限必要なものは処分されず、残すことができます。衣類、テレビ、冷蔵庫、エアコン等はそのまま使い続けることができます。また、現金は99万円以下であれば手元に残すことができます。

自己破産のデメリット

信用情報機関への登録

自己破産すると、そのことが官報や取引金融機関の報告により、信用情報機関に登録されます。信用情報機関に登録された個人信用情報は、ローンやクレジットカードの審査に用いられるので、影響があると考えられます。

保証人の保証債務は免責されない

債務者の自己破産と免責が認められても、保証人になっている人の保証債務は免責されません。債権者は、借入の保証人になっている人に対して返済や支払いを求めることが可能ですので、保証人には迷惑が掛かることになるでしょう。債権者が債務者の家族に返済を迫ることは法律で禁止されていますが、保証人となっている場合は別です。家族の一員、たとえば妻を保証人に借入を行っていたなら、妻が保証人として返済を求められることになります。

破産手続き中に就ける職業は制限がある

「資格制限」といって、自己破産の手続き開始から免責許可が下りるまで、就くことができない職業や資格があります。弁護士、司法書士、行政書士、公認会計士、税理士、宅地建物取引士、生命保険外交員、質屋・古物商、警備員といった職業に一時的に従事できなくなります。この制限は免責許可が確定すればなくなります。

まとめ

自己破産という選択肢を取れば、債務は免責されますが、デメリットも少なくありません。借入金の返済が難しくなるような経済状況になっても、自己破産の前に、返済時期・期間の見直し(リスケジュール)や返済方法について、金融機関や債権者と相談することでいい方向性を見いだせることもあるでしょう。大きくなった借金・債務とどう向き合うのが、自身や家族、保証人、債権者にとって最適なのかを検討し、対応を進めるのがいいのではないでしょうか。