2018年8月1日制作

「不渡り」とは、なんらかの理由で手形や小切手が決済できないことをいいます。不渡りを出すとすぐに倒産するわけではありませんが、信用力に大きな影響を及ぼすため、資金繰り等の面で、その後の経営が難しくなることもあります。不渡りはどのようにして起きるのか、不渡りを出すとどのような処分を受けるのか、みていきましょう。

不渡りについての基礎知識

手形と小切手

「不渡り」を理解するために、「手形」と「小切手」がどのようなものか確認しておきましょう。手形・小切手はどちらも、主として会社間の取引に使われる「有価証券」です。必要事項を書き込み、現金の代わりに相手に渡します(振出)。受け取った人は、手形・小切手を銀行に持ち込むと(支払のための呈示)、銀行は振出人の「当座預金口座」から現金を支払います(決済)。振り出す人は「振出人」、受け取る人は「受取人」と呼びます。

手形と小切手では現金化できるタイミングが違う

手形と小切手は似た役割を持っていますが、いつから現金化できるかという点が大きく異なっています。手形は、記入された期日以降でなければ現金化できません。一方、小切手は線引きが無く振出金融機関であれば、受け取った直後から現金化できます。

当座預金は業務に用いる口座

「普通預金」は個人が普段から利用する銀行口座で、「当座預金」は主に会社や個人事業主が業務に用いる口座です。手形・小切手を用いるには、決済に使う当座預金口座を開設しなければなりません。普通預金と違って、当座預金に預けている現金には利息はつきませんが、もしも銀行が破綻しても預金は全額保護されます。

不渡りとは手形・小切手が決済できないこと

支払期日になり、受取人が手形・小切手を銀行に持っていったが決済できない、このことを「不渡り」と呼びます。振出人の視点では「不渡りを出す」ということになります。当座預金の残高不足が不渡りの主な原因ですが、残高不足の他にも不渡りを起こす原因はいくつかあります。原因と内容によって不渡りは3種類に分けることができます。以下でみていきましょう。

原因と内容で分類される3種類の不渡り

いわゆる不渡り扱いにならない「0号不渡り」

「呈示期間」といって、受取人が銀行に対して現金化を求めることができる期間が定められています。手形では支払期日とそれに続く2日間、小切手なら振出日の翌日から10日間となっています。この呈示期間を過ぎてしまっているものや、記載ミスのような形式上の不備があるものが、「0号不渡り」です。0号不渡りは、振出人の信用に起因するものではないため、銀行取引停止にはなりませんし、「不渡届」の作成も行われず、いわゆる「不渡り」の扱いは受けません。

いわゆる不渡りは「1号不渡り」

いわゆる「不渡り」は、「1号不渡り」のことです。当座預金に十分な残高がなくて支払いが行えない場合が「1号不渡り」です。振出人が当座預金を解約したといった理由で、その銀行と取引がない場合も1号不渡りになります。これは振出人の信用力にかかわる問題ですので、不渡り処分を受けることになります。
(具体的にどのような処分を受けるかは以下で解説します)。

それ以外は「2号不渡り」

0号不渡りにも1号不渡りにも相当しないものは、すべて「2号不渡り」に区分されます。盗まれた手形や、だまされて振り出した手形、偽造・変造された手形等が、2号不渡りに相当します。商品代金として手形を振り出したが商品が納入されなかったといった契約不履行が原因の不渡りも、2号不渡りになります。2号不渡りでは、「不渡届」は作成されるのですが、支払いに充てる資金不足の問題ではありませんので、「不渡届」に対し「異議申し立て」を行うことができます。

不渡りを出すとどうなるか

不渡届が出され不渡報告に掲載される

手形・小切手の不渡りを出してしまうと、金融機関が手形交換所に「不渡届」という書類を提出します。 不渡届を受け取ると、手形交換所はその内容を「不渡報告」に掲載して、加盟銀行に通知することになります。不渡りを出した個人・法人が、別の銀行から、返済の見込みのない借入を行うようなことを防止するため、信用力について注意を促すのが目的です。

一度目の不渡りで受ける不渡り処分

「1号不渡り」を出した場合、それが一度目であれば、振出人は「不渡り処分」を受けます。「不渡報告」に、不渡り処分を受けたという情報が掲載され、加盟銀行に通知されます。それ以外の処分はなく、当座預金を使った取引をこれまで通り続けることができます。ですが、信用力は大きく低下するので、実際のところ、新たに融資を受けるのは難しくなり、経営面で厳しい状況になることも多いと考えられます。

ニ度目の不渡りで銀行取引停止処分

6ヶ月経たない内にニ度目の不渡りを出すと、一度目よりも重い、銀行取引停止処分を受けることになります。この処分を受けると、借入や当座預金を使った取引が2年間できないという制約が課せられます。
銀行から融資を受けることができなくなりますし、手形や小切手を使うこともできなくなります。信用力への影響はとても大きく、事業の継続が困難になって、倒産につながることも少なくありません。そのため、ニ度目の不渡りは「事実上の倒産」とみなされることが多いです。

まとめ

「不渡り = 倒産」ではないのですが、不渡りを出せば、取引先から信用力が低いと判断されることになってしまうでしょう。そうなれば、支払い方法をはじめ、取引条件の変更が求められ、資金繰りを中心に難しい経営状況になっていくこともあるはずです。常日頃から資金計画に気を配り、不渡りを出さないように事業運営を行っていくことが重要です。