2018年7月24日制作

「出資」とは、事業の将来性に期待した投資家が、会社に対して資本としてお金を出すことです。株式の購入という形で出資することで、出資者はその会社の「株主」になります。融資と違って、出資を受けたお金はその会社のものになります。会社は出資者にお金を返す義務はありませんし、利息を払う必要もありません。その代わり、出資者に対して利益の一部を配当金として還元することになり、議決権の一部も渡すことになります。

出資を受けるメリット

融資と違って返済の必要がない

出資を受ける企業の立場からみると、出資を受けたお金を返済する義務はありませんし、利息も発生しません。融資との比較では、資金繰りにおいて有利な面があるといえるでしょう。もし出資者が出資金の返還を求めてきたとしても、原則として応じる必要はありません。「会社法」に定められた「株主と会社との間に合意がある場合」などを除けば、出資金の返還は義務ではありません。

出資を受けた資金の用途に制限はない

出資を受けた資金を何に用いるか、その用途には原則として制限がありません。人材確保や設備投資といった事業の拡大に用いることができますし、銀行からの借入金の返済や社債の償還といった目的でも利用できます。銀行からの融資なら用途に制限がありますので、自由度の高さは出資を受けることのメリットと考えられるでしょう。とはいっても出資者は、その資金によって事業を成長させ、将来的にリターンが得られることを期待して出資するのが普通です。ですので、出資を受けた資金を事業の成長に活かす計画がなければ、そもそも出資者を見つけるのは難しいでしょう。

出資を受けることで発生するコスト

配当金として利益の一部を還元

出資した人は株主として、利益からその一部を「配当金」として受け取る権利があります。これを「利益配当請求権」といいます。配当金として支払う金額は株主総会で決めることになっています。株を多く保有している人ほど、多くの配当金を受け取ることができます。出資であれば、借入金のような利息は発生しませんが、配当金という形でお金が出ていくことになります。また、借入金であれば元本の返済が終わればその時点で利息の支払いも終わりますが、出資金の場合は株を保有する人がいる限り配当金の支払いが続くことになります。

株主が議決権を行使し経営に関与

株式会社の最高意思決定機関は「株主総会」です。会社の基本方針や重要事項は株主総会で決めることになっています。意見が一致しなければ多数決を採ることになり、株主は原則として保有する株式数に応じて議決権が与えられています。多数の株式を保有する投資家がいれば、その人が経営の実権を握ることもあり得ます。経営者と株主の間で意見の相違があれば、経営に制約が生じる恐れもあるということです。

出資を受ける際も、51%以上の株式を経営者が保有し続ければ、このような事態を避けることができます(過半数を保有しているからといって、他の株主の意見を無視していいということではありません)。また、投資家に発行する株式の種類を、議決権を行使できない「無議決権株式」にすることも可能です。「議決権制限株式」にすることで、議決権を行使できる事項に制限を設けるという方法もあります。

株主が増えれば株主総会の開催コストがアップ

会社の規模の大小に関係なく、株式会社という企業形態を取っている限り、株主総会の開催は会社法によって義務付けられています。比較的小規模の会社では株主が役員のみというケースもあります。そのような会社では、日常的に意見交換ができていることから、株主総会は短い時間で簡潔に進めることができるでしょう。多数の投資家から出資を受け入れている会社では、株主が大勢いますので、日時を決め、広い会場を借り、招集通知を送るといった手続きが必要となり、事務作業にかかるコストが増えることになります。

まとめ

融資による資金調達と比較すると、出資を受けることには、返済する必要がない、利息が発生しない、担保や保証人が必要ないといった様々なメリットがあります。その代わり、配当金として利益の一部を還元することになりますし、議決権の一部を渡すことで経営への関与や、多数の株主がいるようなら株主総会の開催に手間と費用がかかるといった面もあります。融資を受けるのがいいか出資者を探すのがいいかは、経営方針や将来のビジョンなどを合わせて考える必要があります。