2018年7月5日制作

借入金の返済や仕入代金の支払いにあてる手持ち資金が不足した状態を「資金ショート」と呼びます。突然の売上減少や支出の増加によって、資金ショートに陥る可能性はどのような会社にもあります。資金ショートが起きる理由は様々です。支出増に釣り合う売上増がないといった収支バランスの崩れだけでなく、取引先が倒産し売掛金が回収できないことや、支払いが一時期に集中して現金が不足するといったことによっても資金ショートは引き起こされます。

資金ショートとその原因

資金ショートは赤字企業だけの問題ではない

資金ショートは赤字企業だけの問題ではありません。黒字決算で利益が出ている企業であっても、赤字企業同様に資金ショートを引き起こす可能性があります。会計上の利益が黒字か赤字かには関係なく、十分な資金が手元になければ、支払いや返済に用いる資金が不足することがあるのです。売上規模が大きな会社も小さな会社も、同じように資金ショートのリスクから無縁ではいられません。

資金ショートの原因 「売上の減少」と「支出の増加」

「売上の減少」は、資金ショートの原因としてよくあるものです。売上が減ると、それだけ入ってくる現金が少なくなっていきますので、資金繰りが厳しくなっていきます。もうひとつ、「支出の増加」も原因として大きなものです。社員を増やして人件費が増えた、原材料が値上がりし仕入費用が増加した、設備投資を行った、といったことで支出が増えれば、手持ち資金の出ていく速度が上がります。この場合、支出(コスト)に見合った売上があるかという、支出と売上のバランスが重要になります。

資金ショートの原因 「入金が遅い」

現金が入ってくるのが遅ければ、黒字であっても資金ショートに陥るリスクが高くなります。会社と会社の間の取引では、納品しても、多くの場合、その場で支払いは行われません。会社間で取り決めた「支払いサイト(締め日から支払日までの期間)」に応じて、翌月や翌々月、または数ヶ月先に支払いを行うことになっています。この支払いサイトが長ければ長いほど、手元の資金が不足しやすくなります。

資金ショートの原因 「出金が早い」

すぐに支払いを行っているような「出金が早い」会社は、資金繰り面で不利になり、資金ショートを起こしやすくなります。これは、仕入代金の支払いだけでなく、給与支払いでも同様のことがいえます。たとえば、月末締めの当月25日払いを行っているなら、5日分を前払いしているわけですから、その分出金が早くなっているのです。

原因に応じた対策を

このように、資金ショートは様々な原因によって引き起こされます。同時に複数の原因によって資金ショートが起きることもあります。まず資金ショートが起きている原因を見極め、それぞれの原因に応じた対策が必要となります。

資金ショートを起こさないために

資金繰り表を作成・更新する

資金ショートを避けるには、手持ち資金の状況を正確に把握することが大切です。そのためには、現金収入と現金支出を記載した「資金繰り表」を作成し、日常的に更新するようにします。現金収入と現金支出を集計すれば現金収支が明確になり、将来的な現金不足も予測できるようになります。資金繰り表に基づいて資金状況の予測を行い、必要なら早めに資金繰りに取り組むようにすれば、気づかないうちに資金ショートを起こすことはなくなるでしょう。

コストを常に意識する

コストを常に意識し、不要な支出を減らすことが、資金ショートを防ぐのに役立ちます。コストには固定費と変動費がありますが、特に固定費が膨らまないような事業運営を心がけましょう。売上の増減とは関係なく毎月発生する費用が「固定費」です。売上が減少した時ほど、売上に対する固定費の割合が大きくなり、それだけ経営にも影響を及ぼすようになります。固定費の削減が実現できれば、資金繰りが大きく改善することもあります。

賃料・家賃の見直し

固定費の中でも、オフィスや店舗の賃料・家賃は大きな支出になっているケースが多いです。契約を長期にすることと引き換えに賃料を下げる交渉ができるかもしれません。店舗では立地が重要ですので容易に引っ越すことはできないでしょうが、オフィスなら都市部から郊外に移転することで、一時的に引っ越し費用は発生しますが、家賃を下げることができるでしょう。

人件費も固定費に占める割合が大きい

残業手当や人材派遣会社への支払いのように、人件費の中には変動費とみなされる部分もありますが、大部分は固定費として扱います。人件費は毎月大きな支出になっていますので、見直しが可能であれば資金繰りの改善につながります。もちろん、従業員の生活に関わることですし、各種法令や就業規則との整合性も考えなければなりませんので、慎重に取り組む必要があります。

変動費の削減も重要

固定費だけでなく変動費の見直しも、経費削減に効果的です。変動費とは、売上や生産量、仕入量などに応じて増減する経費のことです。業種によって異なりますが、製造・小売・卸売といった業種では、原材料や商品の仕入にかかる費用が変動費になります。仕入先と値下げ交渉を行ったり、より安い仕入先を探したりすることで変動費は削減できます。

まとめ

資金繰り表を使って日々資金状況を把握することが、資金ショートを起こさないために大切です。将来的に資金ショートの可能性があるようなら、早急に資金繰り対策を行いましょう。経費の削減を常に意識することは、資金繰り面で有効なだけでなく、利益を上げる力のある効率的で強い組織をつくることにも役立ちます。