2018年6月25日制作

「資金」とは、事業を継続していく上で利用できるお金のことで、手持ちの現金、銀行預金、短期間で現金に換えられる金融資産がそれにあたります。資金は常に増えたり減ったりするものですし、黒字決算で利益が出ていても資金が不足することがあります。お金の出入りを管理し、資金が足りなくなるようなら融資を受けるなどして手当てすること、これが「資金繰り」です。

資金繰りを理解するためのポイント

資金と利益は別のもの

資金繰りについて理解する際にもっとも重要なことは、支払いに用いることのできる「資金」と、損益計算書の「利益」とは別のものだということです。「資金」は、すぐに支払いに用いることができる現金や預貯金のことです。会計上の数値である「利益」は、手元の現金の有無とは関係ありません。損益計算書の「利益」と、使うことのできる「資金」とは一致していませんので、利益が出ていて黒字であっても、資金不足に陥ることがあるのです。

資金と利益が一致しない理由

資金と利益が一致しない理由のひとつに、「掛取引」という支払い方法の存在があります。商品の引き渡し時には支払いを行わず、後日、決められた期日までに支払いを行うものです。4月に商品を納め50万円の売上があったとします。損益計算書には、4月に50万円の売上が計上されますが、売上金が入金されるのはまだ先です。取引先との契約に従って、たとえば6月末に現金が振り込まれます。このように掛取引では、売上のタイミングと入金のタイミングとにズレがあります。

もうひとつ、「減価償却」という会計ルールも、資金と利益が一致しない理由として挙げられます。一定額以上の設備や機械を購入すると、支払いが現金一括であったとしても、損益計算書には複数年に分割して計上することになっているため、資金と利益に差が生じることになります。

資金繰り表で資金状況の把握を

「損益計算書」や「貸借対照表」を作成するだけでは、資金状況を把握することはできません。手持ち資金がいくらあるかを把握するには、資金の動きを記載した「資金繰り表」が不可欠です。資金繰り表は法律で義務付けられてはいませんが、思いがけない資金不足を避けるためにも、用意しておいた方がいいでしょう。エクセルなどの表計算ソフトで扱うことのできる資金繰り表のテンプレート(ひな形)は、インターネットで検索すれば簡単に見つかりますので参考にしてください。また、資金繰り表の作成ができる会計ソフトやクラウド会計サービスを活用すれば、あまり手間をかけずに資金状況を管理できるでしょう。

キャッシュインは早く、キャッシュアウトは遅く

資金繰りを改善するには、「キャッシュインを早くし、キャッシュアウトを遅くする」ということが原則になります。現金が入ってくるタイミングはできるだけ早くし、現金が出ていくのはできるだけ遅くする、これが資金繰り改善の基本です。キャッシュインもキャッシュアウトも、自社に有利な条件にしようとすれば、取引先との交渉が必要になりますので、必ずしも思い通りに変更できるわけではありません。

税金の支払いは資金繰りへの影響大

見落としがちな税金の支払い

毎年支払いが発生する税金は資金繰りに大きな影響を及ぼしますが、事業計画を立てる時には見落としがちです。ひと言で税金といっても、法人税、法人住民税、法人事業税、消費税など、様々な税を納める必要があります。土地や建物には固定資産税がかかりますし、社用車には自動車関連の税がかかります。

法人税は中間申告にも注意を

法人の場合、利益額に応じて、法人税、法人住民税、法人事業税を納めます。合わせると利益の約30~40%になりますので、決して小さな金額ではありません。事業年度終了日の翌日から2ヶ月以内に納めなくてはなりません。前年の法人税納税額が20万円を超えれば、中間申告が必要なことも注意を要します。

赤字でも納める消費税

消費税は「消費者が負担し、事業者が納める」仕組みになっています。事業者は「消費税を預かっている」ということになります。あくまで預かっているに過ぎないので、赤字決算であっても消費税は納付しなければなりません。開業1年目・2年目と、2期前の売上額が1000万円以下の事業者は、消費税の納税義務が免除され、免税事業者となることもあります(詳細は国税庁等のサイトでご確認下さい)。

まとめ

「資金繰り」と聞くと、お金の工面に四苦八苦する姿をイメージする人もいるかもしれませんが、本来はネガティブな意味合いの言葉ではありません。資金繰りにおいて重要なのは、お金の出入りを把握し、支払いや借入金の返済に用いる資金が不足しないようにすることです。資金繰り表を作成してきちんと管理すれば、突然の倒産という事態はまず起こらないはずです。ぎりぎりになってから資金調達しようとしても間に合わないこともありますので、将来の資金状況を予測して、早めに対策を行うことが大切です。